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ホワイトニング後のコーヒーやカレーはいつからOK?食事の注意点と後戻り対策

ホワイトニング

「ホワイトニング後は48時間、コーヒーやカレーは絶対NG!」
かつて、これはホワイトニング後の"常識"といわれてきました。しかし、最新の研究によって、この考え方は大きく変わりつつあります。

この記事では、科学的根拠に基づいたホワイトニング後の食事に関する「新常識」と、当院がご案内する、シンプルな食事の注意点、そして白さを長持ちさせるための具体的なメンテナンス方法を詳しく解説します。

オフィスホワイトニング

色の濃い食べ物の“長期的”制限は不要へ!?

結論から言うと、長期間色の濃い食べ物を制限してもしなくても差はなかったというのが、現在の科学的な見解です。

2024年に発表された複数の研究をまとめた論文では、色のついた食事を制限したグループと、色の濃い食べ物関係なく通常の食事をしたグループを分けて比較したところ、最終的な歯の白さには統計的に意味のある差は見られなかった、と結論づけています。

これは、術後に一時的に着色しやすくなるものの、唾液の働きなどによって歯の状態が安定し、長期的な色の定着には影響しにくい、という考え方に基づいています。

食事制限が不要なら、なぜ色は戻るの?その「2つの正体」

「ホワイトニング中、コーヒーやカレーを我慢しても効果は変わらない」という最新の研究結果に、驚かれる方も多いでしょう。では、なぜ治療後に色が少し戻ったように感じたり、再び着色したりするのでしょうか?

その主な原因は、実は「食べたもの」そのものではありません。

1. 最大の要因は「水分の戻り」

ホワイトニング直後の歯は、薬剤の影響で一時的に乾燥しています。乾燥した歯は「すりガラス」のように光を乱反射し、本来よりも白くマットに見えます。

数日経って唾液から水分が補給されると、歯は本来の「透明感」を取り戻します。すると、内側の象牙質の色が自然に透けて見えるようになるため、直後より少し色が落ち着いた(戻った)ように感じます。これは汚れがついたのではなく、歯が健康な状態に戻った証拠なのです。

2. 着色は「数日」ではなく「長期間」の問題

着色は、数日間の食事で急激につくものではありません。数ヶ月、数年単位での色素の蓄積や、日々の磨き残しが主な原因です。最新の研究でも、歯を守る膜(ペリクル)は数分で再生し、すぐにバリア機能を取り戻すことがわかっています。

つまり、数日間の食事制限でストレスを溜めるよりも、「毎日の丁寧な歯磨き」と「定期的なクリーニング」を続けることの方が、白い歯を維持するためには遥かに重要なのです。

なぜ「30分」?ペリクルの再生と歯の保護について

当院では施術後30分間のご飲食を控えていただくようお願いしております、これには科学的な理由があります。ホワイトニングの過程で、歯の表面を外部の着色要因から守っている「ペリクル」という薄いタンパク質の膜が一時的に除去されます。

このペリクルが唾液の作用で再び形成されるまでの時間がおよそ30分〜90分とされています。私たちは、この歯が最も無防備になる最初の30分間にご配慮いただくことが、着色のリスクを管理する上で合理的かつ効果的な方法であると考えています。この重要な期間を過ぎれば、お食事を通常通りお楽しみいただけます。

ペリクル

注意すべきは「色」より「酸」への対策

「じゃあ、何でも飲食していいの?」というと、一つ注意すべき点があります。それは「酸」です。

歯はホワイトニングをした後、一時的に酸に対して敏感な状態になっています。酸性の飲食物は歯の表面のエナメル質を粗くし(酸蝕)、知覚過敏や、長期的には着色しやすい環境を作る原因となり得ます。

「色が薄い=ホワイトニング後に食べてもOK」ではありません。白ワインなど酸性度の高い飲料は注意が必要です。一方、無糖のプレーン炭酸水は相対的に低リスクですが、フレーバー入りや強炭酸はpHが下がる(酸性度が上がる)場合があるため注意が必要です。

これらの酸性の飲食物を摂った後は、アメリカ歯科医師会(ADA)などが推奨する以下のケアを実践するのも効果的と言えます。

酸蝕

  1. 摂取後すぐに水で口をゆすぐ:口内を中和させ、酸が歯に触れ続けるのを防ぎます。
  2. 歯磨きは30分以上待つ:酸で柔らかくなったエナメル質をすぐに磨くと、歯を摩耗させてしまうリスクがあります。

食事に関するQ&A

Q.「白ワインならOK」は本当?
A.間違いです。 前述の通り、白ワインは色が薄いですが酸性度が高く、むしろ注意が必要な飲み物です。
 
Q.「豆乳や豆腐(イソフラボン)は着色しやすい」は本当?
A.科学的根拠は不十分です。「食事の内容」よりも、「生理的なメカニズム」と「長期的な習慣」が原因と考えられます。

「後戻り」の真実と白さをキープする秘訣

ホワイトニングで白くなった歯も、残念ながら永久にその白さが続くわけではありません。生活習慣や、歯が本来の色に戻ろうとする再石灰化の影響で、少しずつ色が戻る「後戻り」が起こります。

効果の持続期間は、日々の食生活や元々の歯の性質に左右されますが、3~10か月ほどかけて元のお色に近づいていくと言われています。歯が本来の状態に戻ろうとする再石灰化などの影響で、施術から3日ほど経過した頃から、徐々に色が変化し始めることがあります。

この後戻りを防ぎ、白さをキープする鍵は「定期的なメンテナンス」です。

秘訣①:定期的なメンテナンス

色が完全に戻りきる前のタイミングで追加のホワイトニングを行うことで、白さを効率よくキープできます。

  • オフィスホワイトニング:3ヶ月に1回以上
  • ホームホワイトニング:2週間に1度以上を目安に、メンテナンスを受けていただくのが理想的です。

デュアルホワイトニング

秘訣②:日々の着実なセルフケア

メンテナンスと並行して、以下のケアを行うことで、後戻りのスピードを緩やかにすることができます。

  • ステイン除去効果のある歯磨き剤の使用
    高洗浄シリカや重曹などが配合された歯磨き剤は、日々の食事で付着する外因性ステインを除去する効果が研究で示されています。

    さらに、ホワイトエッセンスの歯磨き剤のように、ポリリン酸ナトリウムとナノゼオライト研磨剤を配合したものもあります。ポリリン酸ナトリウムが歯の表面を化学的にコーティングして新たなステインの付着を防ぐ一方で、ナノゼオライトが物理的に汚れを除去する、という二つの働きが期待できます。

クリストホワイト特徴

  • 歯科医院での定期的なクリーニング(PMTC)
    セルフケアでは落としきれないステインやバイオフィルムを、専門家が機械的に除去することは、白さの維持に非常に有効です。

PMTC

  • 禁煙
    喫煙は歯の着色の最大の要因の一つです。白さを維持したいなら、禁煙が強く推奨されます。

喫煙

まとめ:新しい常識で、もっと自由にホワイトニングを

かつての厳格でストレスの多い食事制限は、必要不要の時代になっているかもしれません。ホワイトニング後のケアは、よりシンプルで合理的になっています。

  • 施術を終えた直後の約30分間は飲食を避けるといった、短時間の配慮を基本とする。
  • 色の濃いものより「酸性」の飲食物に注意し、食後は水ですすぐ。
  • 定期的なメンテナンスと日々のケアで、白さを維持する。

 

※この記事は文献や一般的な内容を基に記載しております。ホワイトニング後の注意事項は必ず行った歯科医院の指示に従ってください。
■ホワイトニング 内容:ホワイトニング材とホワイトニング専用照射器を併用して歯を白くします。
費用(自費):19,900円~118,800円(税込)
期間、回数:(単品の場合)1日・1回 (コースの場合)1~3か月・3~5回
副作用・リスク:個人差がありますが、施術中や施術後に歯がしみる場合があります。

参考文献

  • Liu H, Tu J (2021). "Reduction of extrinsic tooth stain by a toothpaste containing 10% high cleaning silica, 0.5% sodium phytate and 0.5% sodium pyrophosphate: an 8-week randomised clinical trial." BMC Oral Health.
  • Moghadam FV, Majidinia S, et al. (2013). "The degree of color change, rebound effect and sensitivity of bleached teeth associated with at-home and power bleaching techniques: A randomized clinical trial." European Journal of Dentistry.
  • Enax J, Ganss B, et al. (2023). "The composition of the dental pellicle: an updated literature review." Frontiers in Oral Health.
  • Hardan L, Bourgi R, et al. (2024). "Is a White Diet Necessary for Tooth Bleaching Procedures? A Systematic Review and Meta-Analysis." Dentistry Journal (Basel).