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もう粘土は使わない?iTero等で変わる、最新の歯型取りと矯正シミュレーション体験

歯列矯正

1. はじめに:「歯型取り=粘土でオエッ」はもう古い?矯正治療の第一歩が快適に!

「矯正治療はしたいけど、歯型取りの粘土が苦手で…」そんな経験や不安をお持ちの方は多いかもしれません。あの独特の感触のピンク色の塊が口いっぱいに広がり、固まるまでじっと待つ間の息苦しさや「オエッ」となる不快感は、歯科治療や矯正治療への一歩をためらわせる原因の一つでした。しかし、現代の矯正歯科では技術が進歩し、iTero(アイテロ)に代表される「口腔内スキャナー」によって、その体験は大きく変わっています。この記事では、最新の快適な歯型取りと、未来の歯並びを垣間見ることができるシミュレーション体験について詳しく解説します。

アルジネート印象

2. 光で歯を撮影?口腔内スキャナー(IOS)の仕組みとは

口腔内スキャナー(IOS: Intraoral Scanner)とは、ペン型の小さなカメラをお口の中に入れ、歯や歯茎に安全な光を当てながら動画のように撮影(スキャン)する装置です。スキャンされた何万枚もの画像が、コンピューター上で瞬時に精密な3Dデジタルデータとして再構築されます。物理的に型を取る従来の「印象材」とは根本的に異なり、光学技術を用いるため、患者さんの負担が少なく、正確な歯型データを得られるのが特徴です。この高精度なデジタルデータが、マウスピース矯正(インビザライン)をはじめとする最新の矯正治療の、正確無比なスタートラインとなっています。

iteroスキャン

3. 快適さも精度も進化!「スキャン」と「粘土」の歯型取り、何が違う?

IOSによるスキャンと、従来の粘土(アルジネート印象材など)による型取りでは、様々な点で違いがあります。最大のメリットは「快適性」。嘔吐反射(えづき)が起きにくく、息苦しさもほとんどありません。スキャン時間は上下の歯列でも数分程度と「時間的負担」も大幅に軽減されます。また、デジタルデータは従来の印象材で起こる物理的な変形や保管中の劣化リスクがなく「精度」が非常に高いです。さらに、スキャンデータは技工所やインビザラインの製造元へオンラインで送信できるため、マウスピース作製までの時間短縮にも繋がります。まさに、患者さんと歯科医院の双方にとってメリットの大きい技術革新と言えるでしょう。

4. iTeroだけじゃない!主要な口腔内スキャナーの性能をデータで比較

口腔内スキャナーの性能を測る指標に「真度(Trueness)」と「精度(Precision)」があります。「真度」はスキャンデータが実際の歯の形にどれだけ近いかという“正確さ”、「精度」は繰り返しスキャンした際のデータの“ばらつきの少なさ”を示し、どちらも数値が小さいほど高性能とされます。2019年に発表されたA. Enderらの著名な研究論文では、当時市販されていた主要な口腔内スキャナーの性能が比較されました。 この論文のデータを参考に、代表的なスキャナーの特徴を見てみましょう。現在では各メーカーから後継機が登場し性能はさらに進化していますが、当時のデータでも各機種がμm(マイクロメートル、1μm=0.001mm)単位の高いレベルで競い合っていたことがわかります。

比較表(代表的なモデルの一例)

スキャナー名 (論文で使用されたモデル) 真度(Trueness)※1 精度(Precision)※1 2019年頃の主な特徴
iTero Element 2
(アライン・テクノロジー)
60.7 ± 11.5 µm 66.0 ± 31.0 µm インビザライン連携に最適化。バッテリー搭載で院内移動が容易。
TRIOS 3
(3Shape)
51.1 ± 16.1 µm 57.4 ± 23.5 µm リアルな色再現性。ワイヤレスモデルも選択可能。
Primescan
(デンツプライシロナ)
33.9 ± 7.8 µm 31.3 ± 10.3 µm 高精細スキャン。院内での補綴物製作(CAD/CAM)との連携機能。

※1 A. Ender, M. Zimmermann, A. Mehl (2019)の論文におけるフルアーチのin vitro(模型上)データです。 数値が小さいほど良好です。現行モデルでは性能が向上している場合があります。
※2 業界資料(2021年頃)を参考にした価格帯であり、オプションや時期により変動します。

このように、スキャナーは機種ごとに性能、特徴が異なります。歯科医院では、こうした客観的なデータに加え、矯正装置、実際の操作性やソフトウェアの使いやすさ、サポート体制などを総合的に評価し、自院の治療方針に最も適した機器を選択しています。

5. 最大の魅力!「治療後の歯並びをイメージ」できる矯正シミュレーション体験

IOSがもたらす最大の魅力が、「治療シミュレーション」機能です。スキャンしたその場で、現在の歯並びから予測される治療後の変化のイメージを、簡易的な3D画像として視覚的に確認できます。これはあくまで大まかなシミュレーションですが、「自分の歯が綺麗に並ぶ可能性」を見ることで、治療へのモチベーションが大きく向上します。また、歯科医師と「どのようなゴールを目指したいか」という初期段階でのイメージ共有がしやすくなるという大きなメリットがあります。なお、詳細な歯の動きや治療期間を示す精密な治療計画(インビザラインのクリンチェックなど)は、このデータを基に歯科医師が後日作成し、改めてご説明します。

治療計画と簡易シミュレーション

上:インビザラインの治療計画(クリンチェック) 下:簡易シミュレーション

6. マウスピース矯正(インビザライン)ができるまで

マウスピース矯正、特にインビザラインの治療計画は、すべてデジタルデータ上で進行します。IOSで取得した精密な3Dデジタルデータは、そのままオンラインでアライン・テクノロジー社(マウスピース矯正インビザラインの製造元)へ送信され、治療計画の立案からオーダーメイドのマウスピース作製まで、一貫したデジタルワークフローを構築します。アナログな石膏模型作製などの工程を排除することで、誤差が生じるリスクを最小限に抑え、精度の高いマウスピースが出来上がります。この精度の高さが、計画通りのスムーズな歯の移動をサポートし、結果的に治療の質の向上や期間の短縮にも貢献する可能性があります。

スキャンからインビザラインができるまでの流れ

7. スキャン体験の実際:時間はどれくらい?痛みや不快感は?

「実際にスキャンするのはどんな感じ?」という疑問にお答えします。撮影は、歯科医師や歯科衛生士がペン型のカメラをお口の中でゆっくり動かしながら、歯の表面をなぞるようにスキャンするだけです。痛みは全くなく、不快な味や匂いもありません。スキャン時間は上下すべての歯を合わせても数分程度で完了します。もし途中で疲れたり、唾液が溜まったりしても、一度スキャンを中断して休憩することも可能です。従来の型取りのように固まるまでじっと待つ必要がなく、リラックスした状態で受けられるのが大きな特徴です。

8. まとめ:快適な歯型取りと「未来の笑顔をイメージする」シミュレーションを体験しませんか?

iTeroなどに代表される口腔内スキャナーは、従来の歯型取りの「不快」なイメージを覆す、快適で精密、かつ治療への期待を高めてくれる画期的な技術です。治療後の姿をイメージするシミュレーション体験は、矯正治療への一歩を力強く後押ししてくれるはずです。もちろん、その後の精密な診断と治療計画こそが最も重要です。このような最新のデジタル歯科体験ができるかどうか、まずは気軽に無料相談で話を聞いてみてはいかがでしょうか。

当院は東京・渋谷JR渋谷駅から徒歩4分、渋谷公園通り沿いにございます、渋谷以外では6医院関西大阪梅田、岸和田市、京都市、和歌山市に分院があります。

矯正治療実績は5000症例以上(※)あり、インビザラインではブルーダイヤモンドプロバイダーを受賞しております。

グループで矯正治療を管理しており、質の高い治療を提供しています。

東京・渋谷でインビザライン矯正・マウスピース矯正をお探しの方は一度無料相談(相談・精密検査費無料)にお越しください。

※2024年度グループ全体の矯正症例数

 


治療内容
カスタムメイドで制作されたマウスピースを定期的に交換しながら少しずつ歯に適切な力をかけて歯並びを整えていく矯正治療です。
標準的な費用(自費)
矯正治療費、相談・検査・診断料 無料、調整料 無料
インビザライン(マウスピース治療)
198,000円〜899,800円(税込)
治療期間及び回数
症状によりますが、一般的に2年前後の治療期間となります。
通院回数は、治療段階によりますが、通常2〜3ヶ月に1回です。
副作用・リスク
装着時間が少ないと治療期間が長引く可能性があります。
他の矯正治療法と同様に、疼痛・歯根吸収・歯肉退縮の可能性や適切な保定をしないと治療後に後戻りすることがあります。
【医薬品医療機器等法(薬機法)に関する記載事項】
・インビザライン完成物は、日本国内において薬機法未承認の矯正装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。尚、インビザラインの材料自体は、日本の薬事認証を得ています。
・「インビザライン」は米国アライン・テクノロジー社の製品の商標であり、インビザライン・ジャパン合同会社から入手しています。
・日本国内においては、同様の医療機器が薬事認証を得ています。
・インビザライン・システムは、世界100カ国以上の国々で提供され、これまでに1500万人を超える患者さまが治療を受けています。 (2023年3月時点における「インビザライン・システム」および「インビザライン Goシステム」の合計)

 

参考文献

  • A. Ender, M. Zimmermann, A. Mehl (2019). "Accuracy of complete- and partial-arch impressions of actual intraoral scanning systems in vitro". International Journal of Computerized Dentistry, 22(1), 11-19.